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「こんなにも愛されたら、しあわせ」

大人の男女の恋愛を描き続ける直木賞作家・井上荒野(「潤一」「切羽へ」)の同名小説を、恋愛映画に定評のある行定勲監督(「GO」「世界の中心で、愛をさけぶ」「春の雪」)が完全映画化。主演の阿部寛を筆頭に、豪華キャストが織り成す、恋愛アンサンブルが誕生。モラルや正論を軽やかに飛び越えてみせる、美しい刺激に彩られたセンセーショナルな愛の物語がここに完成。

艶という謎の女が投じた小さな石が、大きな波を巻き起こす。心の奥深くで気付くのは、本物の愛のありか。

艶という女と大島に駆け落ちしてきた松生春二は、奔放な妻の不貞に悩まされ続けてきた。そんな艶が病に冒され、昏睡状態に。松生は、何度裏切られても献身的に愛してきたが、彼女を失うことに耐えられない・・・その時、過去に艶が関係を持った男たちに、愛の深さを確かめようと思いつく。

東京で一見平穏な生活を営む何組かのカップル&家族に突然もたらされた、艶の話。それを聞いた夫の、恋人の、父のそれぞれの様子から、艶という未知の女との肉体関係を感づいてしまった女たちは、突然自分たちの人生に割り込んできた艶という存在に困惑する。

目の前に見えているはずの「大切な人」が知らない顔を見せた時、人は愛を確かめ、見つめ直す―――。

イントロダクション

大女優2人のバトル勃発

クランクインから早5日目。この日は小泉今日子演じる環希と、荻野目慶子演じる愛子の“妻VS愛人のバトルシーン”の撮影。人気作家=行彦(羽場裕一)の華やかな受賞パーティーの場に現れた愛子は、ツバの大きな白い女優帽に、肩を大胆に露出したワンストラップの白いドレスという嫌でも目立つファッション。そんな愛人の愛子を、モノトーンの粋な和服姿で迎え撃つ(?)妻・環希。一見穏やかに談笑し合う2人の目はもちろん笑っておらず、一触即発の雰囲気がビシビシ伝わってくる。そしてついにバトルがスタート。赤ワインをかけあい、テーブルクロスをひっつかみ…極めつけは愛子の、耳をつんざくような悲鳴!まさに“THE修羅場”の様相だが、モニター前で行定監督が爆笑していたのもうなずけるほどにコミカルな色合いが強いシーンに。「このお2人が戦ったら絶対に面白いだろうなと」(行定監督)という読みは完全に当たったようだ。ちなみにこの日は原作者の井上荒野先生もご主人と共にカメオ出演を果たし、ナチュラルなお芝居を披露してくれている。

大女優2人のバトル勃発

まるで昭和の文豪!この男の正体は・・・

不動産会社の前の植え込みに座り込む、着流し姿に丸メガネの怪しい男…。まるで昭和の文豪といった風貌の太田(岸谷五朗)が、湊(野波麻帆)を待ち伏せするシーンの撮影だ。ヒールの音も高らかにやって来るキャリアウーマン然とした湊が、太田の姿を見て明らかにギョッとする様子。「ほら帰って!」と邪険に追い払われ、何度も名残惜しそうに振り返りながら立ち去る岸谷の寂しげな芝居には、思わずスタッフもクスクス。野波もカットがかかった後は、思わず笑顔に。かなり長い時間の人止め、車止めを余儀なくされつつも絶妙なおかしさが漂う1シーンとなった。野波は後日、蔵の中でのラブシーンにも果敢に挑み成熟した大人の女優への成長を印象づけることに。

まるで昭和の文豪!この男の正体は・・・

阿部寛、水浸しのハードなクランクイン

ついに主人公=松生役の阿部寛がクランクイン。だが海岸の水たまりに上半身まで浸かりながらの初日という、なかなかハードなもの。いくら初夏とはいえ冷たい海水に浸かりっぱなしでは体も冷えてくる…。そのためスタッフ総出でお湯を沸かし、リレー方式でかけ湯を試みた。阿部は同じく海水に浸かりっぱなしのスタッフを気遣い、お互いにお湯を掛け合うといった微笑ましい光景も。「確かに寒かったですけど(笑)、スタッフの方はほとんど寝てなくて大変なのに監督の手足のようになって機敏に動いてらっしゃって。これは僕も一言も言い訳ができない現場だなと思いました」(阿部)。この頃から既に連日連夜のハードスケジュール【“て”つやのよる】(スタッフ談)は始まっていたのだ。

阿部寛、水浸しのハードなクランクイン

こだわりにあふれた艶の病室

艶が入院する大島の病院での撮影がスタート。艶の病室は監督もお気に入りのロケーションの1つだそうだが、実はこれは大島ではなく千葉県のとある施設で撮影された。「ここは実際病院ではないですが、窓から抜けて見える風景が決定的でしたね。窓外の木々の生命感とは逆に病室内は無機質にしたかったので、余分なものはできるだけ排除して、床もすべて張り替えました」(美術・相馬氏)。この病院で松生の元妻・早千子(大竹しのぶ)と娘の麻千子(忽那汐里)が、松生と再会を果たすが…という緊迫したシーンが長回しで撮影されてゆく。忽那の「お父さん!」という悲痛な叫び声が響く1シーンも、かなりのロングテイク。「長いシーンほど監督はこだわられてテイクを重ねますが、その度に感覚的な何かを得ているのかなという気がしています」(忽那)。一方の大竹は艶の胸の噛み跡を見て涙するという難しいシーンを前に、入念なテストを繰り返す。「今の間(ま)で大丈夫ですか?」と自ら何度か監督に確認しに来る大竹だったが、いざカメラが回り始めると顔の映らないバックショットさえも女の情念がにじみ出る凄まじい芝居を見せる。「ここまで艶のことを愛しちゃう男を、私(早千子)は好きなんだって分かった気がします。私自身が松生に惹かれる要素はないですけど(笑)、阿部さんのやつれ具合を見てこういう生き方もあるのかなって思いました」(大竹)。その言葉通り、体重を10kg近く落とし、しかもほぼノーメイクで今回の松生役に臨んでいる阿部は、数ヶ月前とは別人のよう。愛に生きた男の狂気は日増しに濃厚になっていく。

こだわりにあふれた艶の病室

どう見ても大島!レストラン松生

松生が艶と始めたペンション兼、レストランの前で、百々子(真木よう子)と優(永山絢斗)のシーン。優役の永山は今回かなり女性にモテる役。「自分と共通点がない役なので難しい」と悩む永山に、「もっと気楽に」とアドバイスする監督。そんな優を健気に想い続ける百々子を、化粧っ気のないラフな佇まいであえて“地味作り”で演じる真木も印象的。 そしてこのレストラン松生こそどう見ても大島の風景だが、実はここも千葉県でのロケ。周りに生えている椰子の木が偶然大島から植樹されたものだったりと、素晴らしい縁に恵まれた奇跡のロケーションなのだ。

どう見ても大島!レストラン松生

そして“本当の”大島ロケ敢行

7月上旬、5日間に渡って大島でのロケ。これまでの撮影合間、阿部がヒマさえあれば乗っていた松生の愛車=黄色いママチャリが、ここでも大活躍することに。“地層断面前”という聞き慣れないバス停を降りると、そこにはスタッフが通称“バームクーヘン”と呼ぶ巨大な地層が広がっている。そのバームクーヘンをバックに、「最初はきつかったけど、乗り慣れてきた」(阿部)という自転車を懸命に走らせる松生。長身の阿部があえて猫背気味になるようにと、サドルを低く付け替えた自転車も松生の狂気と一途さを代弁するアイテムに。
大島を訪れたサキ子(風吹ジュン)と共に、大島名物“べっこう丼”(島唐辛子と醤油みりんで漬け込んだ白身魚をご飯の上に乗せたもの)を食すシーンなどを順調に撮り終え、海岸のシーンへ。ここで松生から艶と亡き夫の生々しいメールのやり取りを聞かされたサキ子が、初めて感情を露わに崩れ落ちるというシリアスなシーンを撮影。卑猥な言葉を挑むようにサキ子にぶつける松生から、一線を越えてしまった者の恐怖と哀しさがあふれだす。そして突然、はじかれたように笑い出しそのまま砂浜に崩れ落ちるサキ子。泣きながら笑い続けるその姿は、一瞬正気を疑うほどの迫力に満ちていた。「すごく良かったです」という監督の言葉を受けるように、スタッフから思わず拍手が起こる。2人の熱演は日が落ちるまで続き、阿部は大島で無事、クランクアップを迎えた。

そして“本当の”大島ロケ敢行

オールアップはやはり深夜…

7月中旬。最後の撮影は、優が経営する“スナックYOU”(これも千葉県)。優の昔の恋人・ゆかり(藤本泉)が、優の子供だという少年を連れて大島にやって来るというまたしても修羅場を予感させるシーンだが、肝心の優はまるで他人事。そんな優に不安を募らせる百々子と、ハラハラしながら見守る仲間たち。このなんとも微妙な気まずい空気の心情を、役者陣に丁寧に説明する監督。柏原収史や三浦誠己など行定組常連の役者が揃った撮影日ということもあり、モニターを眺めながら「(行定作品の)『きょうのできごと』みたいだね」と和やかに談笑する一幕も。
最後は雨降らしで真木、永山共にびしょ濡れになりながら、ついにオールアップ。 「皆様のおかげで楽勝な現場でした!」と挨拶する監督の晴れ晴れとした笑顔に、ハードながらも順調に進んだ撮影の確かな手ごたえを感じた。

オールアップはやはり深夜…
キャスト
キャラクター
主題歌 クレイジーケンバンド クレイジーケンバンド

1997年横浜本牧にて結成。翌98年にアルバム「PUNCH! PUNCH! PUNCH!」にてデビューを果たし、以後横浜を拠点にライブ活動を行う。02年の「GT」で大きな注目を集め、その後リリースしたシングル曲「クリスマスなんて大嫌い!! なんちゃって♥」(02年)、「甘い日々/あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。」(03年)が立て続けにCM曲に起用される。05年には「タイガー&ドラゴン」が同名ドラマの主題歌に起用され、スマッシュヒットを記録する。ロック、歌謡曲、ソウルなどの要素を貪欲に取り入れた歌ものナンバーは、老若男女を問わず幅広く支持されている。

comment
映画「つやのよる」の主題歌を是非CKBで、と行定監督からご指名頂き、まず最初に台本とパイロット・フイルムを観ました。で、この映画はヌーヴェル・ヴァーグ、或いは漢方薬のように、こう、あとからあとから効いて来るので、そんなタイミングでこの楽曲が湧い出て来ました。監督からは艶っぽくセクシーな曲をというリクエストを頂いたこともあり、フィリー・ソウルのようなメローでスローなサウンドで仕上げ、さらに西陣織のような和の質感を抹茶パウダーのようにふりかけてみました。詞はほとんどメロディーと一緒に出て来た天然モノをベースとしているのですが、どうしても埋まらなかった部分がありました。で、考え抜いた末、そこを行定監督にお願いすることにしました。行定監督からすれば、「無茶ぶり!」ってぐらいのタイミングでしたが、さすが行定監督、文字通り艶のあるセクシーなトーンを注いで下さり、映画の世界とマッチしたとても素晴らしい滑らかな仕上がりとなりました。是非その辺も感じてみて頂けると嬉しいです。イイネ!!!

アートディレクター 清川あさみ 清川あさみ

ポスタービジュアル制作
1979年9月15日生まれ、兵庫県出身。アートディレクションから美術作品をはじめとして、衣装、空間デザイン、映像、広告、イラストレーション等、様々な分野での制作まで幅広く活躍中のアーティスト。糸や布を素材とした作品や写真に刺繍を施した作品など、手わざを活かした個性的な作品を作る。2010年にはVOCA展入賞。雑誌「FRaU」(講談社)にて“美女採集neo”を、雑誌「GLAMOROUS」(講談社)にて“男糸(danshi)”連載中。

comment
行定監督はもちろん、素晴らしい女優陣と俳優の皆様が参加される事、そしてそれが「大人の恋愛の物語」という私が一番興味のあるコンセプトだったのでやりがいがありそうだと思いました。様々なうずまく恋愛模様の中、箱を用いた撮影方法で、個々、迷いながら孤独感を持ちながら、、それぞれ強く生きて行く前向きな姿を表現してみました。皆さん素晴らしい演技力の持ち主なので撮影はとてもやりやすかったです。